こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
会計・労務ソフトでお世話になっているマネーフォワード社(以下、MF社)のイベント「士業サミット2024」に参加してきましたので、ご報告いたします。
1) イベントの概要
このイベントは、MF社がおそらく数年前から年1回開催している士業(法律、会計、税務などの専門職)のための業界イベントであり、最新の法令改正やテクノロジーの進化に対応するための知識や情報を共有するものです。
「士業」と銘打っていますが、体感的には税理士70%、社労士25%、その他5%(周辺ソフトメーカー等)を対象にしている印象です。
これは、MFという商品の性質上、自然なことと言えます。
2022年は、電子帳簿保存法やインボイス制度といった税制改正を控え、商品説明の占める割合が高かったのですが、2023年はDXやAIといった技術革新の波の中で会計事務所が何をすべきか、が話題の中心でした。
2024年も、大部分は、自社・顧問先のDXや生成AIとの付き合い方についてのお話となりました。
2) 新技術の取り入れ方
①DXのはなし
イベントの各セッションでは、先駆的な会計事務所の代表やMF社の幹部たちが登壇して、様々な話が繰り広げられました。
DXについては、全体的に、「面倒な作業は機械に任せて、会計事務所は経営者の相談相手にシフトしようよ」という論調でした。
今年からコンサル事業に軸足を移し始めた私にとって、我が意を得たりの心境でした。
会計事務所が「MF導入で顧客のデジタル化が進めば、顧客も自分たちも省力化になる」と考えていても、顧客側で普及が進まない場合があります。
こんなときの会計事務所側のアクションは、顧客の社内システムを一斉にMFに置き替えるのではなく、プロダクト1つからでも置き替えていき、便利さを分かってもらうことだそうです。
②生成AIのはなし
生成AIについては、「当面は使いこなしたもの勝ち。数年後には(機械の進化で)誰でも使えるようになる」との予測が興味深かったです。
私も半年ほど前から生成AI「perplexity」を使い始めましたが、確かに便利です。
ただし、適切なプロンプト(指示文)の書き方などにおいて、少々コツが必要です。
使いこなすには、使い慣れることが必要という主張に賛同します。
③最後はヒトのはなし
これら新しい技術を業務に取り入れていくに当たり、一番大事なのは、代表者が推進し続けることだそうです。企業理念の浸透に近いものがありますね。
代表者が率先して使う、あるいは後押しし続けることで、徐々に変わっていくそうです。
自社スタッフや顧客の中に「抵抗勢力」がある場合は、ムリに全員を変えようとせず、「抵抗」していない一部の人が使い始めて成果を出す、そして周りに広めていくのが、一番の近道だそうです。
3) 岡田監督の組織論
イベントのクライマックスは、サッカー日本代表の元監督、岡田武史さんの講演。
― 会社の代表に就き、周りの経営者に助言を求めたら、異口同音にミッションやビジョンが大事と言われた。
― ミッションやビジョンを守って経営し、今のところうまくいっている(コロナ禍でもスポンサーが離れなかったり、スタジアム建設資金が集まったり)。
― チーム作りは、まず目的を共有し、個々の違いを受け入れ、小さな成功体験を積み重ねること。そうすると一体感が醸成される。初めから一体感を持つ(仲良くなる)ことを目的としても、結果が出なければメンバーの心は離れてしまう。
― 今年4月から「FC今治高校 里山校」の経営を始めた。大人たちが安易に答えや指示を示さず、子どもたちに考えさせる教育を始めたところ、高1生徒たちが中3及び保護者向けの学校説明イベントを見事に企画・運営してみせた。
といったエピソードが印象に残りました。
ミッション・ビジョンづくりは、私も最近取り組みましたが、エネルギーと時間を使い、なかなか大変でした。健全な強制力が働かないと、つい後回しにしてしまいます。
でも、それだけ大事なものなんだなーと、改めて気づかされた次第です。
懇親会では、全国から集まった税理士や社労士の皆さまと、名刺と情報を交換。若くて熱量のある方々との交流に、いい刺激を受けたのでありました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。