ムリな出向を命じられたら

日常・雑感

こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。

以前、事業会社に勤務していたとき、あと数ヶ月で第一子が生まれる!!というタイミングで、準備期間1ヶ月での出向・転勤を命ぜられ、出向後すぐに退職せざるを得なくなりました。その後、労働法を勉強して、当時の私の対応がいかに悪手であったかを知り、ほぞを噛んだものでした。

本稿では、労働者がムリな出向・転勤を命じられたときの対応について整理します。


1) 労働契約法というものがある
労働者と使用者は、両者が合意すれば自由に労働契約を結ぶことができますが、一般に使用者(会社)の方が立場が強く、労働者の権利が脅かされがちです。そこで、労働者の保護を図るため、労働契約法が制定されています。

労働契約法では、「出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情、その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効」(第14条)としています。

私は子会社A(東京都)で損害保険関連のデスクワークに2年ほど従事していたところ、子会社B(福島県)へ工場スタッフとしての出向を命ぜられました。いざ赴任してみると製品梱包などの単純作業要員でした。

当時は何となく事業縮小の空気に流されて無抵抗に従ってしまいましたが、改めて考えると、工場で働くのが私である必要は全くないと言えます。また、準備期間が1ヶ月しか与えられず、共働きかつ出産間近である妻の事情を全く考慮されなかったのも、明らかに不合理でした。

2) 労働組合に相談しよう
私の最大の失敗は、出向を命ぜられた時に労働組合に相談しなかったことです。それまでの人生において縁のない組織だったので、変に気兼ねしてしまいました。実はすでに税理士試験に挑戦中だったため、相談時間を惜しんでしまったことと、早く合格して見返してやりたいという怒りの感情が強かったことが、悪く作用しました。

労働組合法は、労働者が労働条件について会社と交渉するために団結することを促しています。労働組合は、労働法や会社との交渉術について熟知する機関であり、私が真っ先に相談すべき相手でした。少なくとも話し相手にはなってくれたはずです。

居酒屋チェーンや税理士法人に勤務している時は、労働組合自体が組織されていませんでした。仕事に忙殺されて、また職場の雰囲気的に、他の労働者と連帯・連携することもままならず、労働条件の交渉は上長(マネジャーや所長税理士)に掛け合うものれんに腕押しで、改善を図ることは叶いませんでした。それに比べると、せっかく組織され、会費を納めていた労働組合を活用できなかったのが悔やまれます。

3) 都道府県労働局に相談しよう
さて、労働組合が組織されていなければ、あるいは機能していなければ、どのようにすれば良いのでしょうか。弁護士裁判所に相談するのは、少々敷居が高いですよね(もちろん、探せば無料相談会などがありますが)。合同労組(〇〇ユニオンなど)も、組合費がかかるほか、解決金が発生する場合もあるようです。

個別労働紛争解決促進法では、労働者と事業主(会社)の紛争について援助を求められた場合、都道府県労働局が必要な助言・指導をすることができることとなっています。これを受けて、各労働局では「労働相談コーナー」などを設置しています。

相談相手に困ったら、まずはお住まいの地域の労働局に連絡してみることをお奨めします。


今回は過去の苦い思い出とともに、労働問題について書いてみました。「お前に問題があったからリストラされたんだろ?」というご指摘は、甘んじて受けます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

徳田大輔

千葉県柏市の「ひとり税理士」です。財務コンサルと税務顧問により、経営者様をサポートいたします。会計ソフトはマネーフォワードを使用。マネーフォワードの導入支援や業務効率化支援を得意としています。

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