こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
本稿では、次の本を読んで感じたことを記します。
増田俊也「七帝柔道記」(2013年、角川書店)
増田俊也「七帝柔道記Ⅱ 立てる我が部ぞ力あり」(2024年、角川書店)
1) 本の概要
著者の北海道大学柔道部時代の体験をもとにした自伝的小説です。
高校時代に七帝柔道と出合い、2浪の末、北海道大学に入学してから、4年目の大会を終え、部に別れを告げるところまでを描いています。
北大生は、なかなか勝てません。大会で負け、北海道警察への出稽古で憂さ晴らしの対象にされ、強豪高校生にまでコケにされます。それでも彼らは、あらゆるものを犠牲にして、稽古を続けます。投げられ、締め落とされ、関節を極められ、ケガだらけになり、泣きじゃくりながら、ただただ稽古を続けます。
そんな3年と数ヶ月を過ごし、主人公が得たものは--。
2) 私が注目した箇所
私はこの本について、冷静かつ客観的な書評はできません。北大柔道部の出身、いわば「当事者」のためです。平成2年入学、ちょうど主人公世代と入れ替わりで入部しました。本著の中で主人公の後輩として登場する方々は、全て私が入部した時の上級生です。
本を読んでの率直な感想は、「先輩方の苦労に全く気付けず申し訳ありません。次世代に伝承できず申し訳ありません」でした。いくつもある運動部の中から「硬派そうだな」という理由でたまたま選んだ部活で、入部当初から練習環境にも部員数にも恵まれ、割とお気楽に過ごしました。主人公は「先輩方が練習を見に来てくれない。俺たちは見捨てられた世代だ」と嘆きますが、私は仲間内だけで練習している方が気楽でした。
今にして思えば、練習でも練習後ももっと人と交わればよかった、もっと効率よく練習しておけばよかった、もっと勉強やバイト(社会勉強)をしておけばよかった、と後悔が浮かび上がりますが、当時は当時の小さいキャパなりには一生懸命やっていたんだという気もします。そして、途中で投げ出さずに最後まで在籍したことで、少しは役割を果たせたのかなとも思っています。
そして、卑近な話になりますが、自分の周りには、塾講師を務める監督の生徒の答案用紙を手拭き紙に使ったり、アイスキャンディーのゴミやビールの空き缶を戸外で投げ捨てたりする先輩がいなくてよかったと思います。
3) 今の仕事に当てはめてみる
税理士として、税法がどのような経緯で制定され、改変されてきたかを知るのは、実務上重要です。
それに加えて、税理士の諸先輩方がどのように今の税理士制度をつくり上げてきたかを知り、今後どのように変えていくべきかを考えることが重要かを、改めて感じます。
さらに広げると、一市民、一国民として過去を知り、未来を考えることはとても重要なのだと思いますが、あまり大上段に振りかぶっても足元がおろそかになりますので、少しずつムリなく行動できればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。