法人が従業員を雇い始めるときの労務手続

事業経営

こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
本稿では、法人が従業員を雇い始めるときの社会保険(健康保険、厚生年金保険)、労働保険(労災保険、雇用保険)の手続について、簡単に整理します。

予備知識がない方に全体像をつかんでいただくことを想定していますので、詳細については厚生労働省ウェブサイトなどをご参照ください。健康保険については、「健康保険組合」の場合は割愛し、「協会けんぽ」を前提とします。


1) 労災保険
たとえ週1回勤務であろうと、1日2時間のお手伝いであろうと、従業員(パート、アルバイトを含む)を雇う際には、労災保険に加入する必要があります。未加入にしていると、労働災害・通勤災害が発生した場合に、労働者が受ける厚い補償を事業主が負担することになりかねませんので、必ず加入しましょう。

具体的には、従業員を雇い始める日から10日以内に、労働基準監督署へ「保険関係成立届」を提出することとなります。近年、たいていの官公庁届出書類はインターネットからダウンロードした書類を郵送すれば済むのですが、「保険関係成立届」は用紙が複写式となっているため、窓口で手続きすることとなります。

さらに、労働保険は、4月~翌3月の保険年度ごとに給与支給見込額に応じた「概算保険料」を前払いする仕組みであるため、「労働保険概算保険料申告書」を提出することとなります。1年分の給与支給額をあらかじめ見積もっておきましょう。

2) 雇用保険
1週間の労働時間が20時間以上であれば、その従業員は雇用保険に加入させる必要があります(詳細は省きますが、雇用期間が1ヶ月未満or4ヶ月未満の季節労働者or学生であれば、適用除外となる場合があります)。

事業主は雇い始めから5日以内に、ハローワークへ「適用事業所設置届」を提出する必要があります。さらに、雇い始めた月の翌月10日までに、「被保険者資格取得届」を提出します。

3) 社会保険(健康保険、厚生年金保険)
1週間の労働時間が「通常の労働者」(いわゆる正社員)の労働時間に比べて3/4以上であれば、その従業員は社会保険に加入させる必要があります(詳細は省きますが、3/4未満の人は、週20時間未満or月88,000円未満or学生であれば、適用除外となります)。

事業主は雇い始めから5日以内に、日本年金機構へ「新規適用事業所の届出」及び「被保険者資格取得届」を提出します。健康保険証が届くまで数週間を要するので、従業員やその扶養家族が診療を受ける予定がある場合などは注意しましょう。


似たような言葉や書類名が並びましたので、混乱しますよね。それぞれの保険について、まず会社の登録を行い、続いて従業員の登録を行うと考えれば、分かりやすいかも知れません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

徳田大輔

千葉県柏市の「ひとり税理士」です。財務コンサルと税務顧問により、経営者様をサポートいたします。会計ソフトはマネーフォワードを使用。マネーフォワードの導入支援や業務効率化支援を得意としています。

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