独立開業した理由

税理士の開業

こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
今日は税理士事務所を開業した理由を書きます。

前職の税理士法人を辞める直接の引き金になったのは、看護師である妻が夜勤を伴う部署への異動を内示されたことでした。小学生の2人の子どものため、在宅時間を長くする必要があったのです。

しかし、在宅時間を増やすためだけなら、勤務時間を短くしたり、他の会計事務所に転職したりという選択肢もある訳で、わざわざリスクある開業を選んだのは、それなりの理由がありました。

「開業してよかった」と感じることは多々ありますが、本稿では退職前である2023年3-6月頃の想いを現状と対比させて記します。題材的にどうしても、前職に対するネガティブな記述が多くなってしまいますが、同じくらい感謝の念を抱いていることを、予めお断りいたします。

私が独立開業した主な理由は、次のとおりです。
・労働の対価に納得できる
・目が行き届く
・付き合う人を選べる
・自己研鑽に時間を使える
・仕事道具にお金を使える


1) 労働の対価に納得できる

勤務時代は、給料が物足りなく感じていました。ネット記事によると、40代後半の日本のサラリーマン年収は、「平均627万、中央値553万」とのこと。当時の私の年収は、どちらにも届いていませんでした。ましていわゆる「勝ち組の証」である年収1000万は「夢のまた夢」でした。

さしあたりの生活に困ることはありませんでしたが、税理士試験に挑戦するため、5年以上フルに働けず満足な収入を得られなかったばかりか、予備校や大学院に少なからぬ費用を払って、ようやく資格を取得した身には、十分とは言えませんでした。退職金制度がないため、定年まで勤めあげれば報われるということもありませんでした。

開業してからは、自分の労働の対価を自分で値決めできますし、お客様からいただく報酬が全て自分のものになりますので、収入に対して納得できるようになりました。

2) 目が行き届く

勤務時代は、1人で60件以上の担当としてフロント業務に当たっていました。もちろん記帳作業などのバック業務は他のスタッフが手伝ってくれるのですが、お客様から連絡を受け、内容を確認して回答するのは自分ひとり。

有資格者として責任ある仕事をしたいのに、お客様と作業者の間のただの「連絡係」となってしまっていました。作業者の仕事を全てチェックすることもできず、細部に目が行き届かないままお客様にご報告することが常態化していきました。

開業してからは、仕事量を自分で調節できますので、成果物に目が行き届き落ち着いて仕事ができるようになりました。

3) 付き合うを選べる

勤務時代は、会社からの業務指示は、基本的に断ることができませんでした。担当を割り当てられたら、それは私の仕事となります。

会社は、お客様からの税務顧問の依頼を全て受託する方針でしたから、中には事業がすぐに頓挫したり、会計資料を提出してくれなかったり、顧問料を払ってくれなかったりなど、業務外で煩わされることが少なからずありました。

開業してからは、自分で取引先を選べるようになりましたので、相性の合う方考え方が一致する方自分が応援したい方とだけお付き合いできるようになり、仕事が楽しくなりました。

4) 自己研鑽に時間を使える

勤務時代は、勤務時間イコール作業時間であり、勉強に充てる時間がありませんでした。最低限の税務知識や作業方法については社内研修が施されますが、例えば「税制改正大綱を読んで半年~1年後のお客様への影響に考えを馳せる」ような余裕はありませんでした。常に作業に追われていたからです。

税理士会の会則において、税理士には年間36時間の研修受講義務が課せられていますが、あろうことか代表税理士が「そんな研修は受けても役に立たない。誰も研修など受けていない」と言ってはばからない人だったので、勤務時間中の受講は認められませんでした。どうしても受講したい研修は、有給休暇を取得してようやく受講する状態でした。

開業してからは、研修を受けたり税理士会の会合に出席したりを自分の裁量で決めることができ、税理士としての誇りを取り戻すことができました。

5) 仕事道具にお金を使える

勤務時代は、パソコン周辺機器は会社から貸与されていました。数百人規模の会社だったこともあって、あまり性能の高くない廉価版のものでした。コストを抑えたい会社としては、当然の選択だったかも知れません。

しかし、毎日パソコンで仕事をする立場としては、できれば自分に合った周辺機器を使いたかったです。最低でも1日7時間、残業があれば12時間は使う仕事道具です。キーボード、マウス、ディスプレイなどの使い勝手は、作業効率に大きく影響します。勤続年数、勤務時間、役職によって一定の制約は付けたとしても、使いやすい道具の購入を認めてほしかったです。仕方なく自費で購入したキーボードやマウスを職場で使用していましたが。

古参社員の希望で購入され、すぐにハンガーラックと化してしまった「ぶら下がり健康器」を見る度、会社に対する情けない思いが溢れたものでした。

開業してからは、自分の選んだメカニカルキーボードトラックボールマウスウルトラワイドモニターを使って、快適に仕事ができています。


以上、退職前の想いを軸に、独立開業した理由を記しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。