こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
今年も確定申告の時期がやって参りました。
今日は、「小規模納税者等に対する確定申告無料相談会」について書きます。
私が所属する千葉県税理士会の柏支部では、毎年1月下旬から2月中旬にかけて、十数か所の会場に15人前後の税理士が集まり、1日あたり約200人の相談者に対して確定申告のお手伝いをしています。税務署が主催する相談会で、われわれ税理士が相談員を務めます。
相談者の8割以上は年金暮らしの高齢者で、「年金収入から源泉徴収税(所得税)が天引されており、生命保険料控除や医療費控除を適用して確定申告することにより、還付を受けたい」方々です。まれに、農業や不動産賃貸などの事業による所得がある方もいらっしゃいます。
「相談」とはいうものの、実態はほとんどが「作成代行」です。収入のわかる資料(源泉徴収票や支払調書)と控除に関する資料(生命保険料控除証明書や医療費集計表など)を出してもらい、国税庁のウェブサイトに必要事項を入力して送信(電子申告)。控えを相談者に渡して簡単に内容を説明。「よろしければ、来年はご自宅からパソコンやスマホでe-Tax申告してみてください」と言い添えて終了です。
たいていの方は前年の申告書控えをご持参いただけるので(つまり、e-Taxお勧めの甲斐なく、毎年会場に来られる方が多い)、内容を比較して見せながら「収入が上がった分、税額が増えてますね」とか「今年は医療費が多かったので、還付額が増えました」など説明します。入力ミスを防ぐ効果もあるので、申告書の前年比較はとても重要です。
ほとんどの相談者様が「還付」となって喜んでいただけるため、お手伝いする側としても嬉しいのですが、ときどき「納付(追加徴収)」になる方がいらっしゃいます。勤務先での源泉徴収額が少な過ぎる場合や保険解約金などの雑所得が多い場合に起こり得るのですが、「基本的に相談者様は還付を受けるためにわざわざ来られている」という先入観があるため、ずいぶん焦ります。入力ミスがないか、源泉徴収不足の要因は何かなど、通常の2-3倍の時間をかけて慎重に確認します。前年の申告書を確認できず、「去年はたしか還付を受けられたよ」などと言われると、さらに慎重に考えることとなります。
そこまでして「納付(追加徴収)」という結果を相談者様に告げると、たいていあっさりと「あ、そう。仕方ないね」と受け入れて下さります。日本人は真面目だなと思う瞬間です。
また、まれに「利子所得」や「配当所得」のある相談者様もいらっしゃいます。日頃の税務顧問業務ではあまり接することがない種類の所得であるため、要所要所を手元の「税務ハンドブック」で確認しながら入力を進めます。
不特定多数を相手とする相談業務は、失敗するとリカバーできないのでプレッシャーも大きいですが、仕事の幅を広げられるのが最大の魅力です。