こんにちは。柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
今回は次の2冊を取り上げます。
和仁達也「プロの思考整理術」(かんき出版、2021年)
和仁達也「コンサルタントの父が大学生の娘に教えるシンプルな会計」(かんき出版、2023年)
著者は、私とほぼ同い年の経営コンサルタントです。農学部林産学科のご出身ということで、他大学ですが農学部林学科の卒業生として、ご縁を感じます。
1) 和仁達也「プロの思考整理術」(かんき出版、2021年)
本書では、著者がコンサル業務で使っているメソッドをやさしく解説しています。どのように相手の話を聞き出すかというテクニック論も書かれていますが、それより相手の悩みを言語化・図示化して相談者自身から正解を引き出そうとするマインドセットや環境づくりの方が大事と説きます。
内容が分かりやすく、短時間で読めてしまいますが、これを実践し、継続できるかは読者しだい。成果に繋げるには、いろいろと工夫が必要そうです。自己啓発本の常ですね。
2) 和仁達也「コンサルタントの父が大学生の娘に教えるシンプルな会計」(かんき出版、2023年)
本書では、著者が「将来カフェを開業したい」という大学生の娘さんに会計の基本を教えるという構成で、貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)の使い方を説明しています。
特徴的なのが、著者が「お金のブロックパズル」と呼ぶ、BS・PLを箱で表した図です(下の写真を参照)。税理士試験の簿記論の勉強で、同じような図を描いた覚えがあります。決して奇抜なアイディアではないのですが、通常は会計ソフトから出力する「表」、すなわち「数字の羅列」だけで済ませがちな財務諸表を、箱の大きさをもって可視化するというのは斬新でした。
「BSは『お困りごと解決チーム』(筆者注:各事業者のこと)の累計の成績表、PLは『お困りごと解決チーム』の今期のテストの結果」というのは、とても親しみのある表現です。
非常に分かりやすいので、全てのビジネスパーソンにお勧めしたい本です。
3) 自分の仕事に照らし合わせてみる
税理士という職業柄、経営者の方からお悩み相談を受けやすい立場にはおりますが、実際にお悩みを打ち明けていただけるような行動を起こせていたか、自省を促されました。もしかしたら、お客様の表面的な要請に応じて、税金の計算をするだけに留まっていたかも知れません。もちろん、税務顧問契約上はそれでOKなのですが、お客様により大きく貢献するには、別のアプローチを考えてもよさそうです。
ブロックパズルで財務諸表のみならず事業計画を可視化し、税理士と経営者だけでなく従業員も含めて現状や目標を共有するというのは、とても画期的です。私も、作成したBS・PLを、税金の計算のためだけに使うのではなく、このような生かし方をしてみたいと、大いに刺激を受けた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。