こんにちは。
柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
1) 金融庁の指導方針
バブル崩壊後の金融機関の不良債権問題に対応するため、金融庁は1999年、「金融検査マニュアル」を作成し、金融機関に対して透明性・客観性を高めた統一基準による検査を行うよう指導しました。
これを受けて金融機関は、取引先顧客の決算書の内容、担保、保証人を重視した格付けを行い、融資の可否を判断するようになりました。
ところが、金融機関がマニュアルに基づいた定量的・形式的なチェックに偏り、実態を踏まえた柔軟な判断が難しくなった結果、中小企業の挑戦的な取り組みに対する融資が滞るようになりました。
そこで金融庁は、2019年に金融検査マニュアルを廃止し、金融機関に対し、企業の「事業性」を重視して貸し出しを行うよう、新たな方針を示しました。
2) 金融機関は忙しい
20年間、「金融検査マニュアル」に則った定量評価(決算・担保・保証)しか行っていなかった金融機関は、企業の「事業性」を定性的に評価する「目利き力」を失ってしまっていました。
さらに、長年の収益悪化やデジタル化推進により、営業現場の人員は削減傾向。
マネロン、コンプラ、反社チェックなどの「非収益業務」も年々増加。
「事業性」評価には、面談、ヒアリング、現場視察、計画書分析など一連の手続が必要なため、金融機関は非常に忙しくなってしまったのです。
3) 事業者は事業計画書を作りましょう
さて、お金を借りたい事業者が「忙しい金融機関」から融資を受けるには、どうすればよいでしょうか?
そう、自社の「事業性」を金融機関にスムーズに理解してもらえば良いのです。
ウェブサイトやパンフレットなどで会社概要を示すのは大前提ですが、それらは事業の種類や事業規模を知らせる程度の機能しかありません。
過去の決算書が示すのは、あくまでも過去の事実です。
将来どのように推移するか、経営者がどのように考えているかまでは記載されていません。
金融機関に、本業の健全性、将来性、経営者の資質、経営課題の把握力と改善意欲、財務以外の情報(取引先、従業員、技術力、販売力など)をスムーズに理解してもらうには、「事業計画書」を示すのが最も効率的なのです。
融資を受けたい事業者は、早めに事業計画書を作りましょう!
もちろん、当面、融資申請の予定がない事業者も、事業計画書を作った方がいいことは、言うまでもありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
効果的な「事業計画書」の作り方については、また改めて投稿します。
【参考】
一般社団法人 融資コンサルタント協会 ウェブサイト