こんにちは。
柏の葉税理士事務所の徳田大輔です。
1) 借入限度額の目安を知りましょう
「借りられるだけ借りたいです! 弊社はいくら借りられますか?」
資金繰りが苦しくなり、金融機関に相談する経営者様が、つい口にしてしまう言葉です。
せっかく融資申請するなら、できるだけたくさん借りたいというお気持ちは分かります。
しかし、この言葉を聞いた金融機関は、「計画性がなさそうな人だ。貸したお金はきっと無計画に使ってしまうだろう」と警戒してしまいます。
この記事では、「金融機関が考える借入限度額の目安」をお伝えします。
2) 借入限度額の3つの目安
①手もとに残るお金の10年分
1つ目は償還年数から計算する方法です。
次の計算式で表されます。
(税引後利益+減価償却費) × 10
直近の決算書(12ヶ月)において、税引後利益が100万円、販管費の中に含まれる減価償却費が50万円だとしたら、(100万+50万)×10=1500万となります。
少しだけ解説すると、前期1年間の収入(売上)から原価(仕入)と経費を差し引き、減価償却費(直接的に金銭支出を伴わない経費)を足し戻したものが「税引後利益+減価償却費」です。
非常に大雑把ですが、この金額が1年間の事業活動で手もとに残るお金、つまり返済に回せるお金と考えるわけです。
そして、金融機関としては、この金額の10年分を融資限度額と考えています。
②月々の売上の〇ヶ月分
2つ目は平均月商から計算する方法です。
次の計算式で表されます。
平均月商 × 1~6ヵ月
月々の売上高が平均300万円だとしたら、300万~1800万円となります。
平均月商は、直前期の決算書から「年商÷12ヶ月」で求めるのが一般的ですが、「つい最近、支店を増やして売上が急増した」などの特殊事情があれば、直近の実績から計算する場合もあります。
営業利益率の高い業種(専門的な技能を伴うサービスなど)の場合は長い期間(5~6ヶ月)で計算しますし、低い業種(卸売業など)の場合は短い期間(1~2ヶ月)で計算します。
③経常の半分の7倍
3つ目は経常利益から計算する方法です。
次の計算式で表されます。
過去3年分の経常利益の平均 × 50% × 7
過去3期(いずれも12ヶ月)の経常利益が120万円、100万円、80万円だとしたら、(120万+100万+80万)÷3×50%×7=350万円となります。
上記①②より少なめの金額が算出され、融資に対して厳しめの対応をする金融機関の場合、こちらを採用することが多いです。
税引後利益でなく経常利益を使うのは、固定資産売却損(益)などの特殊事情を排除する意味合いがあり、50
%を乗ずるのは法人税等の納付を考慮しての減額です。
なお、経常利益が右肩上がりになっている場合は、後ろの倍率が7倍より大きくなり、右肩下がりの場合は、後ろの倍率が7倍より小さくなることがあります。
3) 金融機関と目線を合わせましょう
すでに金融機関から借り入れがある場合は、上記2) 「金融機関が考える借入限度額の目安」からその残高を差し引くと、今、融資申請していい金額が見えてきます。
自分の懐事情ばかり見ていると、ついたくさん借りたくなってしまうものですが、金融機関からどのように見えるか意識した上で、相談することをお勧めいたします。
「あれっ、この人、突然1000万借りたいって言ってきたけど、せいぜい500万しか貸せなさそうだな」と思われたら、会話がギクシャクしてしまいますからね。
もちろん、実現可能な事業計画を示せれば、上記の「目安」を超えて融資を受けられる可能性もありますから、この計算にとらわれ過ぎるのもよろしくありません。
金融機関への融資申請にご不安がありましたら、ぜひ一度、弊所にご相談ください。
【参考】
㈱ネクストフェイズ ウェブサイト