事業経営に対する考え方

当事務所の経営に対する考え方は、以下のとおりです。


1 税務・労務の知識を少しずつ身につけましょう

当事務所は、お客様が事業を軌道に乗せ、将来にわたって長く事業を存続させるためのお手伝いをさせていただきたいと考えております。具体的には、お金とヒトの管理体制づくりをサポートいたします。

設立当初、経営者様は営業活動に注力されるのが一般的です。経営者様独自の製品やサービスを社会に提供するために会社を設立されたのですから、当然のことです。しかし、この時、経理や人事といったバックオフィス業務は、得てして手薄になりがちです。

初めのうちは、バックオフィス業務を税理士や社会保険労務士などの外注先に「丸投げ」するのもやむを得ませんし、経営者様の貴重な経営資源の配分方法としては合理的かもしれません。ただ、税理士や社労士は法律に抵触しない程度の、あるいは定型的な、最低限度の仕事しかできないことが多いです(もちろん、受託者の技量、契約内容、報酬額によっては、この限りではありません)。

設立後3~5年を経過し、あるいは従業員数が10名を超えて、事業が軌道に乗り始めてからも、相変わらず「丸投げ」では、社内統制が整いません。経営判断も後手に回りがちです。特に、従業員数が10名を超えると、経営者様の人望や仕事の魅力だけで牽引し続けるのは難しく、社内統制の構築が不可欠です。

確定申告書や就業規則の作成時など要所要所で専門家を頼るのは良いとしても、従業員様の給与計算や台帳管理などは、できるだけお客様ご自身で行っていただくことが望ましいと考えます。経営者様がある程度の法令知識を身につけ、税理士や社会保険労務士の仕事内容をチェックできる水準になると、資金計画や労務トラブルに対しても先手を打てるようになります。

当事務所では、お客様のお金とヒトの管理について、適切な助言、指導、作業、確認などを行い、御社の「自立」のお手伝いをいたします。


2 しっかり利益を出して、しっかり納税して、残ったお金を有効利用しましょう

事業を開始された後、まず目指すべきは、利益を確保し、事業を継続できる状態にすることです。いつまでも赤字経営では、事業を継続する意義がありません。

もちろん、経費にできる支出は適正に計上し、節税を図りましょう。事業活動はボランティアではありませんから、必要以上に納税する必要はありません。

経営者様はリスクを負って会社を経営されているのですから、望むままに役員報酬を取っていただいて構いません。会社にお金が無くなれば経営者様が補填せざるを得なくなる事実を踏まえて、報酬を多く取っていただければと考えます(税金や社会保険料への影響については、適宜助言させていただきます)。

また、必要な範囲で、余剰資金を資産運用に回し、経営の安定を図ることも、問題はありません。当事務所は資産運用にあまり関心がないので、気の利いた会話や情報提供はできませんが、税金の計算は適切に行います。

ただし、過度に納税を嫌忌し、節税や資産運用に意識を向けすぎると、公私混同や不自然な経営判断が起こりやすくなります。これはお客様様にとっても、そしておそらく社会全体にとっても、有益ではありません。

当事務所は、お客様にはしっかり利益を出して、しっかり納税して、残ったお金を次の事業活動やヒトへの投資に回していただきたいと考えます。

私的な支出をどこまで事業経費にできるか熱心に考える方や資産運用に関心が高い方とは、おそらく価値観を共有できませんので、他の会計事務所をお探しいただきますようお願いいたします。


3 従業員様に長期間、安心して働いていただきましょう

戦後長く続いた「終身雇用」、「年功序列賃金」といった日本型雇用慣行が世の中の流れと合わなくなり、育児・介護といった家庭事情、心身の状態や趣味の時間の確保といった個人事情に配慮した「多様な働き方」を認めるべき時代となってきました。「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への転換や、斜陽産業から成長産業への人材の移動の必要性が謳われており、人材の流動化がますます加速することは間違いありません。事業主と従業員、互いの成長と発展のため、一定程度の離合集散はあってしかるべきでしょう。

しかし、あまりに在職期間が短かったり、離職率が高いのは問題です。頻繁に人が入れ替わり、そのたびに採用・教育のコストをかけていたのでは、事業の業績も奮いませんし、従業員様も幸せとは言えないでしょう。

当事務所は、従業員様が長期間、安心して働けるような会社づくりを志すお客様のお力になりたいと考えます。税務と労務、お金とヒトの管理に目を配ることによって、経営者様と従業員様の両方を守りたいと考えています。